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はれとけ日誌

ぜんごしょの東京暮らし

口蓋裂治療 ② 口蓋床の日々

口唇裂や口蓋裂がある場合、産まれた直後から直面する課題があります。口腔内を陰圧にできず、おっぱいが飲めないのです。

タローの顎裂は軟口蓋と硬口蓋の両方で、幅も広い方だったようです。産まれてすぐに口腔外科の医師が口蓋床(ホッツ床)を作ってくれました。タローはこれを1歳の手術で軟口蓋を閉鎖しほぼ同時に卒乳するまで、使いました。

口蓋床は、入れ歯のピンクの部分と同じような材質です。樹脂製で、お湯に入れると柔らかくなりました。最初に口腔内の型をとり、上顎の部分にフィットするように作られました。
タローの場合、鼻と口の境が無いので、口蓋床が無いと口から鼻の中が丸見えです。

口蓋床を装着するのは授乳の時ですが、着けていた方が口腔内の発達のバランスを保てると言われ、なるべく着けたままにしていました。

口蓋床の日常管理
使ったもの
はぶらし
歯磨きならぬ、口蓋床磨きが日課の一つ。大人用はぶらしで普通に磨きました。大体、授乳の後に毎回という頻度です。
口蓋床の中央にキリで開けた程の穴があり、デンタルフロスを通し、口角から糸を出しておきます。誤飲による窒息等の事故を防止する為です。

フロス
デンタルフロスは太めのワックスありがおすすめ。細いと口角を傷つけやすく、太いとフロスを通す穴をちょうどよく塞いでくれました。さらにワックスがあると口蓋床との接着面がズレず、口から出ている部分も頰にそって固定され、糸が浮きにくく絡まらないのが良かったです。

入れ歯安定剤
入れ歯安定剤は、口蓋床が浮いて外れてしまうのを抑えるために使いました。種類は色々と市販されています。タローが使ったのは粉タイプでした。水分を含むとゲル状になり、膨張して、口蓋床と設置面の隙間を塞いでくれるというものです。
何回か試しましたが、タローは成長に伴って口蓋床のフイット感が上がり、あまり使わずにすぎました。安定剤があっても無くても飲みっぷりに差がなく、当たって痛がるということもなかったので、殆ど使わず、残りは部分入れ歯のあるじいじへもらわれて行きました(笑)
人によっては授乳時の鼻漏れが減ったり、痛みや違和感が緩和されるのではないでしょうか。

取り外せる口蓋床の意外な利点は、風邪の時。鼻水で鼻が詰まりません。外して洗うと、溜まった鼻水や鼻くそも綺麗さっぱり。滲出性中耳炎になりやすい口蓋裂児にとって、こまめに洗って清潔に保つことは大事だったように思います。

ケース
最後に、ケース。フロスをひっかけそうだとか、移動の途中に落とす心配があるとか、外しておく必要がある時。私ははぶらしと口蓋床をジップロックに入れてました!硬いケースがあればもっと安全かもしれませんね。家では洗ったあと普通に小皿に入れて置いていました。授乳の一部でしたから、おさじやコップと同じ感覚だったように思います。

口蓋床の作り直し
タローは一つの口蓋床を卒乳まで使いましたが、途中で作り直すこともあるそうです。タローの口蓋床は2度口腔外科で手が入れられただけです。
転院したときに、形を整えて、かなり小さく研磨されたのと、数ヶ月後に器具が強く当たる顎組織が白くなってきたときに再度削って調整したようでした。

口蓋床危機一髪
ぞっとしたのは、3.11の混乱の中で口蓋床を紛失しかけたときです。ほどなく見つかり事なきを得たのですが、探している間タローはミルクが飲めず、腹を減らして泣き続けました。
小さな器具が乳児の命綱であることを思い知りました。

貪欲におっぱいは生きる力
ホッツ床が適応しない場合、胃へチューブを通して栄養を与えると聞きました。あるいは、当然のように最初にその対応をする医療機関もあるとか。
タローの口蓋裂は広い方の症例であったようです。しかし、口から栄養を摂り入れることに貪欲な赤ちゃんでした。幼児になった今も変わらないので、持って生まれた気質のように思います。口蓋床等の助けを借り、自分の力でおっぱいを飲んだことは、その後の成長の為に意味があったと感じています。
次は、その点を振り返ります。