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はれとけ日誌

ぜんごしょの東京暮らし

口唇口蓋裂児の言語訓練

タローの経験をもとに、言語訓練の流れと感じたことをまとめます。

物心つくまえにスタート

3か月で形成外科を初診した際に、言語聴覚士の先生とも初見を済ませました。

トレーニングが始まるのは、訓練が必要かどうか見極めがついてくる3〜5歳の頃ですが、物心つくまえに言語訓練へ通う習慣をつけることは有効です。

  • 発達の段階を知った上で、適切な診断と助言を得ることができます。
  • 子供が先生に慣れるので、訓練開始がスムーズです。
  • 幼い頃から関係を築くので、先生側にも思い入れができ、親身な対応をしてもらいやすい。

3つめは実は重要ですよね。また、何度か通ううちに、我が子や保護者との相性の良し悪しが分かってきます。実に合わないと判断されたら、担当の先生を変えてもらったり、別の病院を検討することも必要です。



発語の時期は経過観察

口唇口蓋裂の経過観察と同時に、言語の発達観察もすると良いです。
この間は、半年に1度程度の頻度で通院し、言えるようになった単語を調べたり、定型の文章を毎回読んで構音の癖を調べたりします。

明らかに言葉に問題を感じていると、早く訓練を始めて直したいと焦る時期でもありますが、これといった訓練は行われません。
せいぜい、紙吹き遊びをしましょう、とか、ストローで飲めるようになりましょう、というくらいのトレーニングを紹介される程度です。

ここで焦る必要はないと思います。
子供にとっては、発話をすること自体が初めての挑戦であり、 話すことの喜びを充分に感じることが一番必要な時期です。

日々の遊びや、食事行為の中に、トレーニングになる要素を取り入れながら、とにかくお喋りを楽しめるように徹しました。


訓練が始まる幼児期

まだまだ、構音の検査がひととり、やっとできるくらいの状況ですが、場合によっては少しずつトレーニングが始まります。

  • お喋りが増え、構音障害が目立ってくる。
  • 言葉が伝わらない苛立ちが増え、お喋りを嫌う可能性も出てくる。
  • 簡単なトレーニングが可能になる。

タローは0〜5歳が通う保育園へ行っていたので、0〜2歳は乳児クラス、3〜5歳は幼児クラスと、子供社会も区切りがありました。

幼児クラスの頃になると、子供同士の会話も増えます。そろそろ、構音の弱いところを聞き返されたりする場面が増えてきます。

子供からの話しかけが増え、母親の通訳がないと他の人には言いたいことが伝わらない時もあります。

先生の指示に従って、同じ言葉を復唱したり、簡単なゲーム感覚で訓練ができるようになるのが、この時期です。

身体の発達により、シール貼りや塗り絵、ガラガラうがいができるようになれば、準備が整ってきます。それまでは、シール貼りをさせるので手一杯で言葉の練習どころではないわけです。


かなが読めると訓練が進む

4,5歳になると、ひらがなや数字が読めるようになってきます。
タローの場合、文字が読めるようになる頃から、訓練もはかどりました。
本人が視覚認知優位なようで、文字と音を結びつけて理論的に構音していきました。
文字や文章を読むのは得意なようです。

子供ごとに個性があるため、個人に最適なタイミングと方法があり、言語聴覚士の先生と付かず離れず観察を続けてもらっていると、トレーニングに向かう丁度良いタイミングを捉えられるでしょう。


自宅訓練

  • メリットとデメリットを天秤にかけて
  • 話すことを嫌いにならせない方が大事
  • 正しい指導ができなければ、やらない方がまし

家庭で取り組む用に、宿題を毎回、出してもらえます。
先生とやった練習を、毎日10回ずつやってみてね。といった内容です。

実はタローは、ほとんど家でトレーニングをしませんでした。

父親とは、自転車で登園する道すがら、舌を動かす訓練をしたり(べろべろべろ〜と出したり引っ込めたりするような遊びの形で行うタイプ。)しました。

しかし、タローがややディフィカルトさんだったこともあり、定まった訓練を毎日するのは、本人への負荷が大きく感じられ、殆ど宿題はしていません。

歯磨きすら、「めんどくさくて」ずるずると先延ばしにしたり、へそをまげて叫んだり、「なんでやらなきゃいけないの!!」と扉をバンバン叩きつけたりする人でした。
言われた通りに行動したり、自分ができないことに繰り返し挑戦するのは苦手です。できていないことを指摘されるのも極端に嫌がりました。

訓練が義務であったら、反発は大きかったと思います。

それに、正直に言って私にも、タローの構音を聴き取り、正しい音かどうか判断し、正否を指導する自信がありませんでした。

誤った指導をするくらいなら、やらない方がまし。そう判断しました。

結果的に、自宅ではタローの気分が乗った時に練習するだけの取り組みが奏功したと思います。

タローの場合は、言語訓練でコツを掴むと、自分なりに日常的に意識を持ち続け、たまの訓練を通して正しい構音を確認しながら定着していくという様子でした。


訓練は調整力、話したい情熱が原動力

  • 極端な話、伝われば良いし、嫌な目に遭っても気にならなければそれでも良い
  • 何度でも言い直す力
  • タローの話は面白い

タローは喃語の頃から保育園に通い、お友達も長い付き合いで、意思疎通は容易でした。タローの話が分からなくて訊き返されることは、殆ど問題になりませんでした。

家族、祖父母、かかりつけ医の先生などへ、私(母親)の通訳が必要な時はありました。しかしそれは、乳児期から幼児期にかけての、夢想がちな話の飛躍に解説が必要なのと同じ程度で、本人かひどく気にすることなく、乗り切れてきたと感じています。

欲しいもの、言いたいことが、伝わらないとき、何度でも言い直す。言葉を変えて言い直す。怒りながらも言い直す熱意が、本人に生まれていることが最も貴重だと感じています。